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猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症feline immunodeficiency virus infection

概要

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症は、FIV感染に起因する免疫不全を主徴とする疾病でさまざまな症状が認められ最終的には後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症する。

原因

FIVはヒト免疫不全ウイルス(HIV)と同じレトロウイルス科レンチウイルス属に分類され、猫にAIDS様症状を引き起こす。
FIVはA〜Eの5つのサブタイプに細分され、異なるサブタイプ間では抗原性が異なる。FIVは全世界に分布しており、感染率は日本では
12%前後と高い。感染例は屋内猫より屋外猫に多い。
FIVは感染猫の血液、唾液、精液、乳汁中に存在しており、主に交尾や喧嘩の際の咬傷による水平伝播で広がる。

症状

FIVに感染すると4〜8週で抗体が出現し、次いで以下5つの臨床経過を示す。

1、急性期
  感染後3〜4週で軽度の発熱と好中球減少とさまざまな部位のリンパ節腫大がみられる。急性期は1〜数ヶ月持続する。

2、無症状キャリアー期
  急性期の後、臨床症状が消失し、無症状のまま数年持続。

3、持続性全身性リンパ節症期
  全身のリンパ節腫大だけでほかに症状はみられず、数ヶ月持続

4、AIDS関連症候群期
  発症猫の平均年齢は5歳で、FIV抗体陽性に加え、各種の慢性疾患(口内炎、歯肉炎、化膿性皮膚疾患など)、体重減少などもみられ  るが、全身状態はそれほど悪くない。
  多くの猫は1年以内にさらに重篤な疾患、AIDS期に以降し死亡する。

5、AIDS期
  顕著な削痩、貧血あるいは汎血球減少症に加え日和見感染、腫瘍がみられ数ヶ月以内に死亡する。

診断

FIV感染症は病期が長いことならびに多様な病態を示すことから、臨床症状ならびに臨床検査からFIV感染症が疑われる場合、FIV抗体の検出を実施する。血清診断キット(FeLV/FIVコンボ)で診断する。感染4〜6週間後より診断可能。
FIVに感染していても抗体価が低かったり、感染末期で抗体価が低下していて抗体陰性のことがある。このような時には、ウイルス分離やPCR法によるFIV遺伝子の検出により診断する場合もある。

治療

FIV感染症を治癒させる方法はない。
したがって治療は対症療法となる。
AIDS関連症候群期に多発する口内炎、歯肉炎に対しては、抗生物質の内服やステロイド剤の使用。インターフェロン療法など。

予防

FIV感染を防ぐためにはFIV感染猫への接触を防ぐことであり、新しく飼う猫はウイルス検査を実施し、野良猫との接触をなくすことが重要である。
FIVは非常に変異の多いウイルスであることに加え、AからE群の5つのサブタイプに分かれ、異なるサブタイプ間では抗原性も異なる。このことがHIVと同様にFIVのワクチン開発を困難にしてきた。現在A群、D群、B群の株に対して防御効果を示すワクチンが販売されている。

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