子宮蓄膿症とは、子宮に細菌感染が起こったため、その膣内に膿汁(ウミ)が貯留した病気をいいます。本症では膿汁が多量に貯留すると、子宮は、妊娠子宮に匹敵するくらいの大きさになります。本症が発現するのは発情終了後、後2ヶ月続く黄体期(卵巣から黄体ホルモンが分泌されている期間)です。黄体期には、子宮内膜が増殖し、分泌物も多くなり、細菌の発育にとって都合のよい環境となります。また、このホルモンの影響によって、子宮頸管が機能的に閉鎖しているため、膿汁は膣の方にほとんど漏出しません。したがって膿汁は子宮腔に貯留してしまいます。本病は未経産または長期間繁殖に供用していない高齢犬に発症するのが特徴です。犬種による発症の差は認められません。子宮蓄膿症の膿汁からは種々の細菌が分類されていますが、大腸菌が最も多く検出されます。このことから肛門、外陰部、膣などに常在している大腸菌が侵入することが問題にされています。しかし、本症の発現と交配の有無との関係は認められておりません。
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